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砂場を掘ってマグマを見よう

校庭に小さな山があった。

そこに砂場があって、下級生達は山を作って遊んでいた。

 

その子は、皆が山を作っている中で一人でずっと穴を掘っていた。

どうして穴ばかり掘るのかと尋ねたら

「知っている?地面を掘り続けると、「マグマ」というモノに辿り着いてしまうんだよ。」

と嬉々として喋った。

 

その、「マグマ」が何か全く解らなかったが、見た事もないものだと彼は言う。

 

それはとても、当時の私にとって、多分風穴を空けられる出来事だったんだろう。

 

深川の小さな山のある校庭の砂場で、彼と沢山遊んで話した事は、

深川で覚えている、

凍った川を上流に向かって歩いた事と

雀を拾った事と

地面に水を撒いてスケートリンクを作っていた、あそこで飲んだ粉末ココアくらい、

よく思い出す。

 

彼がそういえば、ドラえもんが大好きだったのも、そう言えばここでこうやってまだ残っているものなのかもしれないと、薄ぼんやり思い出した。

 

彼は今でも元気だろうか。

覚えていないけれど、こうやって切れてしまった縁を思うだに、私は何か酷い事を言ったりやったりしていないだろうか。

 

砂場にマグマを思い馳せた、アレを綺麗にする事は簡単だけど

何も酷い事をしていないのなら、「久しぶり。覚えていないだろうか。私は元気ですが、君はどうだい?」くらい、時々言いたくなる気持ちになる。

 

もしも、どうしようもなく酷い事をしてしまったなら、すまない。と言いたいが、最早彼にとっても思い出したくもないだろうから、せいぜい黙っているのが幸いだろう。

 

まあ、フルネームすら忘れてしまったんだけれども。

何年、もうそうか、20年近く昔の話になるんだな。

 

勝手にキレイな思い出にしてしまうのは、あまり善くない。

だけど、元気だろうかね?

元気だろうか。

 

穴を掘る仲間だった私はとりあえず、仕事が大変ですが、元気ですよ。