知らない男

私の伴侶は、私のバックボーンの常識を知らない。

美味しいもの、素晴らしい景色。

その夫々の感動を、彼は知らない。

 

一々腹を立てては、食材を調達し、何が美味しいか、コレは何か、教える。

素晴らしい場所に連れて行き、だからホラ。素晴らしいだろう。美しいだろう。と伝える。

 

対して、制作における、「何故美しいのか」という事を私は知らない。

伴侶は、その分ではサラブレットである。

 

人間は、足りないものを埋める様に人と繋がるという話を、正味半信半疑で聞いていた。

だがしかし、彼にとっての知らないが素晴らしいモノを、私にとっての当たり前で教えられる気軽さと同時に、私にとって得られるものも同意ならば、その生活は、とても

生活として、何ら無理無く、今の所は理想的だと思う。

 

当たり前のものを与えあえた時に、互いに感謝しか生まれない関係なら、本当に多分それが尊敬というモノなんだろうと。

 

伴侶を見て思う。

 

憎たらしい程に、伴侶の作るものは美しい。

憎たらしい程にだ。

 

そして伴侶が私の作るモノを見て、同じ事を思っている事を信じられる今は、なんて幸福なんだろうかとしみじみ思う。

 

幸福だ。